ザ・ソーシャルグッドアカデミア #01_SDGs2.0時代のソーシャルグッドクリエイション

ザ・ソーシャルグッドアカデミアはMakaira Art&Design主催のソーシャルグッドの社会実装を創出・推進していくことを目的としたアカデミアです。

第1回目のテーマは「SDGs2.0時代のソーシャルグッドクリエイション」。ソーシャルグッドを社会実装していく上で重要となる“マインドセット”を軸に、社会起業家のプラットフォームを運営する株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長・鈴木雅剛とざ・ソーシャルグッドアカデミア代表・大畑慎治が語り合いました。

(以下の記事はHUFFPOSTからの抜粋です。)

ビジネスという土俵が、私たちを“悪人”のようにする

多くの人が、社会課題への関心・危機感を持っている昨今。しかし、その解決の手立てをビジネスとして確立させることに困難を感じる人は少なくありません。

鈴木さんは言います。

「日本のビジネスパーソンは、一人で食べて生きていく分には困っている人は少ないかもしれない。けれど、社会問題を取り扱うニュースを見て、社会への違和感を抱くようになった人は多いはずです」

しかし、抱いた“違和感”を解決に向けたアクションに繋げるのが非常に難しいと指摘します。

鈴木さんはこれまで何千人もの人に、ビジネスに関する次のようなクイズを出題してきました。

“もし、あなたが経営者だったとしたら、利益をあげるために何をする?”

この問いに多くの人が「仕入れ先に金額交渉をする(値切る)」「品揃えの良い大企業と契約をする」などと回答したそうです。

「シンプルに『売上をあげる』と答える人が5%くらいしかいないんです」と鈴木さん。

採用戦略なども同様です。経営が厳しい状況の時に誰を採用する?と尋ねれば、「イレギュラーが発生しやすいシングルマザーより若い男性を採用する」と答える人が大半。

「目の前の課題にしかトライできない人が非常に多い。なかなか未来を作るアクションができないんですね。でも、これらの選択をする人は“悪人”なのでしょうか?そうではありませんよね。ビジネスという土俵がそうさせている。そこに上がると、人が悪気なく効率を優先させるような構造になってしまっているんです」

自分の仕事が社会問題の解決へと繋がっている状態が一番いい、としながらも、その実現が叶わないケースが多い理由を、「効率を最重要視するビジネスの構造が問題である」と鈴木さんは分析します。

だからこそ、時に意図して非効率を巻き込み、「自分の理想とする社会を実現する」ことを念頭に置いて事業を進める姿勢が重要だと説きました。

“にわか層”と“ファーストペンギン”に着目せよ

大畑さんは鈴木さんの話に同意しながら、ソーシャルグッドが進んでいない現状の背景にある「政府、企業、生活者の“三律背反”な関係性」にも着目。それぞれがそれぞれに期待を寄せている状態から硬直し、具体的な課題解決のアクションの促進に発展していないと指摘します。

では、私たちは企業で働く者や生活者としてどう取り組めばいいのでしょうか?

ひとつの答えとして大畑さんは「ソーシャルグッドのFun化」を提言。「企業はマーケットがあれば事業を展開しやすい。そして、マーケットを作るためには“にわか層”の存在が重要」と、2019年のラグビー・ワールドカップやカープ女子を例に話します。

さらに、完璧さを求めすぎない「大らかさ」の重要性も指摘します。

「ソーシャルグッドであるために完璧なビジネスモデルを求められ、そうでないと批判される状態だと企業も失敗を恐れてしまいますよね。挑戦を受け入れる大らかな世論も同時に必要です」と、生活者側の受け取り方にも言及。

過去にソーシャルグッドな取り組みが炎上したケースを参照しながら、日本の完璧主義・同調圧力の傾向が企業に二の足を踏ませている事実を明らかにしました。

にわか層とおおらかな世論によって生まれるソーシャルグッドなビジネスに対しての“ゆるい姿勢”が、海外では好事例を生んでいます。大畑さんはオランダへ足を運んだ際に、「ビジネスを企てる人たちのマインドが日本と全然違う」と実感したそうです。

例えば、オランダ・ロッテンダムにあるシェアオフィス・Blue Cityの併設カフェ。フードマイレージ(食料の輸送距離)を意識し、燃料および排出されるCO2を削減するために50km圏内の食材のみを使用していますが、ワインだけは「美味しいものを飲みたい!」という気持ちを優先して、イタリアから輸入しているそうです。

「日本であれば、『フードマイレージを意識しているって嘘じゃないか!』と批判されそうだが、これが受け入れられている。完璧さばかり求めれば進まないし、面白さも失われてしまう」

以上のようにFun化が進んでいけば、企業・生活者の両方のマインドが変化し、三律背反の関係に変化が生まれるのではないでしょうか。

複数の事業モデルを世に送り出しているボーダレス・ジャパンも、常識や先入観を排除したアイデアから成功例を生み出してきました。

鈴木さんは言います。「選択肢が日常にあれば、生活者の日常は当たり前のようにサステナブルになっていくでしょう。選択肢を提供する事業者の増加は、成功モデルの増加に比例します。成功した事業は、みんなが真似をしていく。まずは解決したいと思っている人が、ファーストペンギンになることが大事」

そして、次のように参加者を鼓舞しました。

「今の常識は、未来での非常識になっているはずです。新しい常識に向けてとにかく一歩、動き出しましょう」

記事全文はHUFFPOSTでご覧いただけます。

ビジネスの土俵が、私たちを“悪人”のようにする。ではどうすれば? ソーシャルビジネスの先駆者が語る「構造の変え方」

ゲスト:
鈴木雅剛(株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長)

モデレーター:
大畑 慎治(ザ・ソーシャルグッドアカデミア 代表)

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